白水の津

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灘校の針路 第3回:中高一貫と人間関係の固定化

 今回は少し趣向を変えて、灘校のみならず、中高一貫校全体に議論の幅を拡大したうえで、人間関係の固定化と、それがもたらす影響について考えていきたいと思います。

あまり他校との比較はできていませんが...灘校と、双子の片割れが通っている神戸女学院くらいしか、内部事情をあまり知らないものなので。

濃密な人間関係の裏返し

 もうすでに様々な場所で述べられていることですが、中高一貫はその学年数の多さから、縦のつながりが広く、そして強固にできます。高3は大学受験への用意があるとしても、高2が中1~高1までの4学年を引っ張っていくことになりますから、中1や高2からすれば「兄と弟」のような年齢差の生徒とともに学校を築き上げていくことになるのですから、相互に刺激しあい、成長しあえるのは言うまでもないでしょう。あとは、4学年、3学年上の上級生/下級生の知り合いがいること自体、将来的にも生きてくる人脈になりうるのではないでしょうか。

 少し話を脱線させますが、灘校が、それこそじゃれあいあうような、まだ幼さの残る中1男子にほぼ強制力がないという意味での自由を与えることができるのは、高学年の生徒による統率があってこそ、という一面があります。中3から高2までで、男の子はぐっと成長しますからね!周りを見ていてもそういった実感はあります。3年間の中学校だと、校則を厳しくしないと学校崩壊一直線でしょう。

固定化された6年間のリスク

 気の知れた友人と本音を語り合いながら過ごすのは居心地のいいものですし、そのような親友と人間関係を築けることそれ自体は建設的なのですが、やはりそこだけに留まってしまっていても学校生活を過ごせてしまう、内向き気質で、固定化された価値観に留まってしまうというリスクを抱えているのも、また中高一貫校の特徴です。前回の記事で学年全体での団結ーOne for All,All for Oneといったスローガンに代表されるようなーはあまり望ましくない方向性に向かってしまうと述べましたが、そうである以上、この解決策は多様なコミュニティへの参加機会を増やすこと、せめて友人関係の「系統数」を増やすことが解決策なのですが、あまり学校内でそれが上手くいっているのか?と言われると微妙なところです。

系統数という考え方

 友達だとか、知り合いだとかを「人数」ではなく「系統数」で考えてみると、それが充実したものであるかどうかがおおむね分かる、という肌感覚があります。いわば、「何をきっかけに友達になったか」「どういうグループの友人関係なのか」といったものを1つ、2つ、と数えていったものが、その人の系統数になります。

例えばですが、

・小学校時代からの友達

・運動部Aの友達

・文化部Bの友達

・クラスで雑談する人

といった人の場合、系統数が「4」となります。これは学校内にとどまることなく、学校外を含めて考えてみるといいと思います。(むしろ、学校外まで人間関係が広がっている方が、たこつぼ化を回避できる、多様な価値観に触れあえるという意味でいいかもしれません。)

 現役中高一貫校生の方は、この「系統数を増やすためには?」という発想が、その後の学校生活に生きてくるかもしれません。知らんけど。

 

今回はこれくらいで終わりにします。ありがとうございました。